ネットショップ運営が軌道に乗り始めたとき、日々の発送オペレーションの戦力増強も同時に手を売っていくことが、ビジネス成長の大きなポイントです。
成功するECは、品揃え・キャンペーン・CRMといった本業により特化し、物流や顧客サポートは外注で組み立てるシナリオが一般的です。

発送業者を比較する際、以下のようなポイントを重点的にチェックします。

小ロットへの対応度

ネットショップ立ち上がり期の発送代行の一番の特徴は業界水準比でロットが小口であることです。
物流アウトソーシング事業者の手がけている案件規模は業者によってまちまちです。一概に小口は軽視されるということはなく、物理的な倉庫スペース(建物スペースと既存取引で決まります)や、マンパワーの兼ね合いで、小ロットの顧客に限って受け入れ可能、というケースも多々あります。
ロット適合性を効率良く比較評価するためには、あらかじめ自社の販売実績を整理してまとめておくことが重要です。見積もり依頼時に、同じ情報を各業者に提供することで初めて的確な比較が可能になるため下準備は欠かせません。

荷物の物量に関する主要な尺度には以下のようなものがあります。
・ピーク時、平時の出荷個数
・入荷頻度
・品目、アイテム数

保管条件

温度帯管理など、販売アイテムの保管に注意すべき条件がある場合は、その点も比較ポイントになります。
条件が具体化している場合は、その点を質問事項として聞きます。
逆に業者から類似アイテムの取り扱い実績や顧客業種を聞く、という手もあります。条件の明確化が難しく伝えづらい場合や、ショップ内で注意してきたレベルの条件を確認する際に有効です。

梱包の”幅”を確認する

通販・ネットショップ特有の重要ポイントとして「似姿・梱包で希望どおりのことを実現できるか?」というものがあります。
とくに、店舗をもたないEC専業のビジネスでは、届いた商品そのものが”顔”ですから、ギフトラップ・資材持ち込み・パック商品企画・販促物の封入など、ショップ独自の差のつく企画の幅は気になるポイントでもあります。
比較にあたり、過去のパッケージ展開例などを整理しておき、どのような点に関心を持つショップなのかが伝わることを意識しましょう。
「ご要望とあれば何でもできます」以上の情報を引き出すには、具体的な実例をヒアリングすることが有効です。
アウトソーシングの1つのメリットとして、安定した流通加工スキルを利用できる可能性もあります。

価格など総合評価

ネットショップならではの代行業者の評価ポイントを考慮にいれておくことは、失敗しないパートナー選びに役立ちます。

まとめとして、一番重要なことは、何か1つのポイントで決めるのではなく、いくつかの着眼点を設定したうえで総合評価をすることです。
たとえば小学校の通信簿のように、各項目を5段階評価して並べるだけでも偏った評価を避けられます。
偏った評価で後悔しがちなのは、やはり価格でしょう。
価格は高低を比べやすいので「安ければすべて正当化される」という考え方に陥りがちですが、商品がどのように届くかはお店のコアな価値であることを忘れてしまうのは危険です。また、価格については1個あたり発送コストの概算に当てはめて検証してみることも重要です。

このように多軸評価をしていくと、各社一長一短の印象になることが多くなります。大切なことは、このプロセスで「自社が何を重要と考えているのか?」を明らかにすることです。

重視しているポイントは顧客サービスとして積極的に採り入れ(PRにまで反映する)、妥協ポイントはコストメリットとして還元していくことで、競争力のあるECビジネスを設計できます。